第1章 見果てぬ恋 リクエスト鬼滅 累夢
那岐「うん。良いよ、飲んで?」
累が私の首筋に噛みつく。
鉄のような臭いが鼻につく。
累はゆっくり味わう様に私の血を吸い上げる。
この瞬間だけは全身から力が抜ける。
那岐「ん……」
ペロ。
傷跡を舐められてぞわりと背筋が粟立つ。
累「那岐の血は甘いね」
那岐「ん。血に甘いなんてあるの?」
累「血にも風味があるんだよ」
那岐「ふうん?」
那岐とは他愛のない話をよくした。
日中、僕を背負って歩いている間におきたこと。
何でもないことが那岐から聞くだけで、さも面白くなった。
僕は自分でも分からない内に那岐に心を動かされるようになった。
那岐との道中は楽しかった。
たまに、鬼殺隊が外を彷徨いている時は二人で隠れたりしていたけど。
那岐は僕を守ってくれた。
那田蜘蛛山にいたどの鬼よりも彼女は優しく、そして強かった。
不思議だ。
彼女は人間なのに。
たまに那岐の名前を叫んで追ってくる鬼殺隊員も居るが、彼女はその隊員の動きを封じて、すぐにす巻きにしてしまう。
彼女が誰よりも姉らしかった。
この日までは。