第3章 五条君
「まあ、でも、あいつ琴音に相当惚れてるし、初めての相手としてはムカつくけど適任かも。
…でも、これは絶対治す!!」
『ほ、ほほ惚れて…!
え、これ?……きゃっ、何これ!?』
惚れてる、初めての相手、という言葉に顔が熱くなりながらも、視線を落とせば、
硝子ちゃんが指差し、手をかざした内腿は無数の赤い箇所があって…
「キスマークっていうの、聞いたことあるでしょ?
ムカつくから全部消す」
『!…あ、ありがとう!
悟にタイツ履くなって言われて…こんなの、恥ずかしすぎる!』
「あいつ、一回死んだ方がいい」
これが、キスマーク…
ふわりと身体が治っていく感覚に目を閉じれば、硝子ちゃんに、男の前でそれ禁止と、ぴしゃりと言われてしまう。
私も、硝子ちゃんみたいになれたら…
反転術式を使ってくれる彼女にお礼を再び言って、かけてあった制服を着ながらも、
…悟、服かけてくれたんだ。
そう思って、胸がきゅっと締め付けられる。
あ、あれ…私…
そうした間にも硝子ちゃんに、男には気をつけろ、とか、嫌だったら舌でもなんでも噛みつけ、などなど、アドバイスをたくさん貰い、頭に漏らさず叩き込む。
そして、ようやく廊下に出れば、そこにはニヤニヤとした悟と夏油君がいて…
こ、この2人には、いつも気をつけてたはずなのに…。
「お前が付けた跡、全部消してやったから。感謝しろよ」
「はああ!?何してんだよ!」
という2人の会話に苦笑いしながらも、男には気をつける、という硝子ちゃんの言葉を頭の中で繰り返して、3人と歩き始めたんだ。
to be continue…