第3章 五条君
耳元にぴったりと口をくっつけられて、低い声でそう囁かれる。
嘘だ、そう思うのに、ほんの少しだけ期待してしまう。
そして重なる唇。
ゆっくりと深くなっていくそれに、目を少しだけ開けば至近距離で悟に笑われてしまう。
…!!!
少し、離れた距離が切なくて、
『や…さと、る…』
そう、引き寄せようと手を伸ばしてハッとする。
私、何してっ…
「へぇ、好きなの?キス」
『ちが、くて…っ!きゃあっ!っ…!』
ニヤリと覗き込まれたかと思えば、次の瞬間には片方の脚の膝裏を掴まれて誰にも見られたことの無いその場所をチラリと見られる。
な、なななにしてっ…!?
悟の顔を見れば、掴んだ方の脚の内腿に唇を寄せていて…
「身体中にキスして気持ちよーくしてやるよ」
!!!
ちゅっとリップ音を鳴らしながら、異様な場所に吸いつかれ、訳が分からず甘い声を漏らしてしまう。
な、に…?
…声、止まんない!
悟の方に目を向ければ、口角を上げながら私を見下ろして、
「柔らかすぎじゃねぇ?ちゃんと筋肉ある?」
そう楽しそうに私の内腿へのキスを場所を少しずつずらしながら、続けている。