第5章 夏油君と五条君
『ご、ごめんなさい!
あの、その…実感が無いってだけで、ちゃんと伝わってる、から…』
いつも余裕そうに笑う威圧感たっぷりの彼が、目の前でしゃがみこんで落ち込んでいるという異常事態に、躊躇いながらも、そっとしゃがみ込んでいる彼の肩に手を置いた。
どうしよう…
悟がこんなに傷つくなんて…
そう再び彼を覗き込もうとすれば、
『ひあっ』
突然腕を引かれて、彼にぎゅっと包み込まれる形になる。
「マジでちゃんと分かってる?」
『う、うん…』
「琴音は俺の女で、嫌って言ってももう離してやんねぇからな」
『!!…ぅ、分かってる、よ…んっ』
!!
また、キスされちゃった…
ただ重なるだけだが、優しくて少し長いそのキスに顔が熱くなる。
ゆっくり目を開けば、もう弱々しかった彼は居なくて、
「ハッ、赤くなっちゃって可愛い」
彼はそう言ってスッと立ち上がり、私に手を差し出す。
『し、心配したのに!』
わざと彼の手を取らずに立ち上がれば、行き場の無くなったその手が私の腰に回って、再び彼との距離はゼロになった。
ほんとっ…!
心臓に悪い!!
「これからずっとよろしくな?琴音」
『〜〜〜!!』
綺麗な彼の笑顔に、何度も何度もきゅっと胸を締め付けられてしまう私は、もうどうにかなってしまっているようだった。
凄い不本意だけれど…
私、悟のこと、好きかもしれない
to be continued