第5章 夏油君と五条君
「悟、琴音が困っているだろう?」
「あぁ?」
そう私と悟の距離を引き離してくれた相手を見て、喉の奥がひゅっと鳴る。
優しく私に微笑んで、悟は任務が出来たようだと言って2人で立ち去っていく。
び、びっくりしたぁ…
しかし、助けてもらったのにお礼も言えずに固まっていたことに気付き、なんとも言えない罪悪感が押し寄せる。
あんなに優しい人が悟みたいに急に私を…なんてこと、あるのかなぁ
思い返せばこの数日間、自分が夏油君に対して失礼なことばかり考えていたことが恥ずかしくなる。少し彼を警戒しすぎていたかもしれない。
「琴音、久しぶり」
『硝子ちゃん!おかえり〜!』
数日ぶりに高専に戻ってきた硝子ちゃんを見て、さらに肩の力が抜けていく。
高専から出るのに制約をかけられている彼女が、こんなにも長い期間居ないのは珍しい。
きっと大変だったんだろうなぁ…
『疲れてない?大丈夫??
授業のノート取ってあるから後でコピーしていいからね!』
「ありがと。じゃあお言葉に甘えて、一休みしたら取りに行くよ」
『うん!』