第5章 夏油君と五条君
『コンビニ、遠いなぁ』
涼しい夜風を感じながらも、1人夜道を歩きながらそう呟く。
姉妹校交流会が終わり数週間が経った。
あれからというものの、
悟と目が合っては、団体戦後にあった事を思い出して目を逸らし、覗き込まれて笑われるというやり取りを何度繰り返しただろうか。
けれど、今まで恐いと思ってた彼は、私に対して意地悪な言葉をかけるものの、本当に優しく接してくれている、気がする。
そんな事に気付いたからか、徐々に彼の存在が私の中で大きくなっているのは確かで…
やっと高専から1番近いコンビニに到着すれば、見覚えのある後ろ姿に立ち止まってしまう。
「おや?琴音も来たのか。
一緒に来たら良かったね」
『夏油君。こんばんは!』
立ち読みしていた雑誌をパタンと閉じて、私に柔らかい笑顔を向けてくれる。
夏油君優しいけど、たまに恐いこと言うんだよなぁ。
そう思いながらも、2人で買い物を済ませて一緒に帰ることになってしまう。いつもは悟か硝子ちゃんが居ることが多くて会話に困った事はないけれど、
な、何を話せば…!?