第4章 憲紀君
『起こしちゃってごめんね?五条先生に言われて』
「構わないが。何を言われたんだ?」
『…いや、特には。
五条先生ってそういうところあるよね』
そんな会話をしながらも、憲紀と2人、制服を着てグラウンドへと歩く。
グラウンドって何するの?
個人戦、というか2日目は延期になったはずじゃ…
そう考えていれば、目的の場所に到着し2人で顔を見合わせる。
こ、これって…
『結婚式みたい』
「あぁ。…どういうことだ?」
沢山のお花で飾られた椅子と、その中心には演台のようなものが置いてあり、歌姫先生と硝子さん、生徒のみんなもいて…
「あっ!琴音さん!」
そう振り向いた野薔薇が駆け寄ってきて、嬉しそうに、そして少しニヤニヤ?しながら、私にブーケを渡し、憲紀にはお花の冠を手渡す。
え、えぇ!?
これって私達のためにってこと!?
すると、演台でバッチリやる気満々の五条先生と目が合う。
いや、目隠しをしているから感なのだけれど。
「あとは憲紀!琴音をちゃんとリードしてね!」
そう五条先生が言えば、隣の彼は息をゆっくり吐き出して、こちらを向いて私に冠を被せて微笑む。
その瞬間、野薔薇と三輪ちゃんの歓声が聞こえて恥ずかしくなる。
至って落ち着いている彼は、私に手を差し出して、
「似合っている。ほら、行くぞ」
そう言ってくれたんだ。
FIN