第3章 3~鬼舞辻無惨~※裏あり(鬼舞辻無惨)
目が覚めると、宿にいた。傍には炭治郎くんが座りながら寝ており、私は隊服を着ている。
あれ、鬼に破かれたはずじゃ……
きっと炭治郎くんが助けてくれたのだろう。そんな格好で寝かせてしまって申し訳ない。
私が体を起こすと、炭治郎くんも目を覚ました。炭治郎くんは起きた私を見て私に駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「うん、ありがとう。炭治郎くんが助けてくれたんだね。」
「いえ……すいません、俺がもっと早く行けていれば、あんなことには……」
申し訳なさそうに俯く炭治郎くんに私は笑顔を向けた。
「いいのいいの、あーゆーのはよくあることだから、気にしないで。」
「…………よくあること、なんですか?」
私の言葉に驚いたように、心配したように、炭治郎くんは聞いた。
「あぁ、うん。ごめんね、ちゃんと話せてなくて、私の体質って言うか…色々複雑で……」
私は私の体質や、鬼姫と呼ばれる存在であることを炭治郎くんに話した。すると炭治郎くんはとても悲しそうな顔をした。
「そう、だったんですね……ごめんなさい、俺……」
「大丈夫だから、炭治郎くんは気にしないで。これが初めてじゃないんだから。」
「初めてじゃないからって、気にしないわけないじゃないですか。初めてじゃなくても、大事なことです。」
炭治郎くんの言葉に私は目を見開く。そんなふうに言う人あまりいなかったから、驚いた。この子は本当に優しい子なんだ。
「ありがとう。でも大丈夫だよ?もう気にしても仕方ない。それにほら、あの鬼たちは炭治郎くんが倒してくれたんだしね?」
「そう……ですね」
「だからそんな顔しない!次の任務に行かなきゃ!途中でご飯食べよ?私お腹すいちゃった。」
私は数時間程度で目が覚めたため、まだ外は夜中だった。今から移動しておいた方がいいだろう。次の任務がどこになるか分からないけど。
私たちは宿を出て、歩き始めた。そして、炭治郎くんの持っていた箱の中から女の子が飛び出す。
「あっ、禰豆子!」
この子の事は御館様から聞いて知っている。鬼にされてしまった炭治郎くんの妹さん。
こんなに可愛いとは知らなかったけど。