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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第59章 2人の炎をあたためて ✳︎✳︎




人を好きになる上で”最上”と言って良い愛の言葉を恋人に伝えた。
そして口付けも絶え間なく与えて行けば上昇していくのは七瀬に対する気持ちだ。

まだこうして口付けたいが……唇を一旦そこから離し、視線を彼女の手元に向ける。右手も左手も茜色で色づいているそこがとても愛おしい。
普段は見るだけで満足しているが、今夜は違う感情が生まれた。

“触れてみたい”
そんな思いだ。

意を決し、七瀬の右手をやんわりと自分の口元に近づける。まずは親指に下から上へ舌を這わせ、そして口に含む。

恋人の体が一瞬だけ震えるが、抵抗をしなかった様子に「了承」と捉えた俺は、続いて人差し指、中指…と指先1つ1つを丁寧に口に含んで行き、愛撫を施した。


「食したい程相手を慕う……そう表現される事もあるようだな」
「え………?」

右手の愛撫が終わると、七瀬が閉じていた目を開ける。
すかさず視線を彼女の双眸に向けると、感情を振るわせた様子が伺えた。

「今の俺は正にそれだ」
「あっ……ん……」

今度は左手の指先に1つ1つ、右手に施した時と同じように親指から丁寧に愛撫を与えると、再び体を震わせた。
頬が紅潮しているのできっと心地よいのだろう。そうであってほしい。

「七瀬…」
「は……い」

左手の愛撫が終わって、俺が声をかけるとゆっくり目を開けてくれた。先程よりも目は潤み、頬も更に赤くなっている。

「足も良いだろうか」
「えっと……そこは……」

彼女の顔が真っ赤に染まっていく。そんな様子がとてもかわいい。

「茜で色づけてくれたのだろう?」
「はい……でもあまり綺麗な物では……」

「君に問いたい。俺達が使用する炎の呼吸はどこが1番重要だ?」
「えっ?呼吸ですか?」
「そうだ」

炎の呼吸は雷の呼吸と同じで、踏み込んだ攻撃を主とする技が多い。故にその基礎と言うべき1番重要な体の部位は足になる。

「足……ですね」
「そう、足だな。特に足底や足先に重点を置かなければならない。いわばよく使っている所だ」


七瀬の右足の甲に右手でそっと触れる。ここは傷痕こそ少ないが、皮膚が硬くなっている。
一度ゆっくり撫でた後に顔の近くまで持ち上げると……




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