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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第59章 2人の炎をあたためて ✳︎✳︎



互いの唇を啄み合う音を響かせると、衣服が急に邪魔な物に思えて来る。
彼女の滑らかで触り心地が良い素肌に触れたい。そう思った俺は口付けを続けながら、まずは七瀬の象徴である八雲柄の羽織を脱がせてパサリ…と畳に落とした。



『君も頼む……』
言葉には出さなかったが、自分の羽織を彼女の両手に触れされると意味を察して、それを両肩からゆっくりと落としてくれた。


八雲と炎。
2つの羽織が重なった事をきっかけにして、着ている物を一つずつゆっくりと外していく。
彼女の隊服の上衣を俺が脱がせば、同じように俺の隊服の上衣を脱がせてくれ、これもまた落とした先で静かに重なり合った。



それから敷布団に腰を下ろし、足袋と脚絆を脱がせ合った後はベルトを外し、洋袴をゆっくりゆっくりと下げて行く。
すると現れるのは、すらっと真っ直ぐ伸びた七瀬の両足。
常に洋袴か着物で隠れている為、その肌の色は程よく白くそしてきめ細かい。

『ここも本当に触り心地がいい』


彼女の引き締まった両太ももを一度ふわりと撫でると、今度は白シャツだ。
互いにボタンを上から一つずつ外していき、七瀬のシャツをバサッと脱がせると、目の前に飛び込んで来るのは綺麗な形の鎖骨と愛らしい存在である両の膨らみ。



最後にお互いの下着をするっと取り払うと、俺達を隔てる物は何もなくなり、2つの男女の体を行燈の明かりがぼんやりと照らす。


七瀬の体には自分と同じように決して少なくはない傷痕が色々な部位に存在しているが、全て彼女が命懸けで任務に当たった軌跡であり、足跡だ。
俺はそれらがとても綺麗でかけがえのない物に感じられる。




ふう、と七瀬が自身の体のある部分を見てため息をついた。
………どうしたのか。
気になった俺は彼女に声をかける。


「これは将門塚再建の時の物か?」

「あ、はい……朝霧と戦った時ですね。蛇に締め付けられた痕がまだ消えてなくて」

彼女の両腕のちょうど真ん中に当たる場所——肘が曲がる所に鬱血痕がうっすらと残っていた。


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