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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第59章 2人の炎をあたためて ✳︎✳︎


「んっ……いっ」

先端の周りに3回、強く吸いつかれた。ちりっとしたが、けして不快ではない痛み。

「うむ、綺麗だ」

顔を少し上げた彼はとても満足そうな表情を見せた後、私の膨らみに咲かせた3輪の赤い花に水やりをするように口付けを落とした。そしてそこをゆっくりと優しく撫でて来る。

「いつもより大きくありませんか?」
「そうだろうか?」

………もう、この顔は狙ってやったんだな。

「あっ、ん……」
再びもう1つの膨らみにも、甘い痛みが3回走る。


「こちらも綺麗に咲いた」
「あっ、やっぱり大きい……」

右にも左にも杏寿郎さんによって咲かされた花が3つずつ現れた。
普段のこれは一個が金柑1つ分の大きさなのだけど、すだち1つ分の大きさのように思う。


……こんな情事中に説明するのも雰囲気が…と感じる方もいらっしゃるかもしれないけれど、補足しておくと金柑は1つが10グラム。すだちは1つが30〜40グラムと言う大きさだ。



「不都合だったか?」
「もう、その聞き方はずるいです」

嫌なわけないし、不都合なんて……ない。けれどこれを本人に伝えるのはほんの少し悔しいから黙っておく。


「意地を張る七瀬もまたかわいい」
「…………」
私はこうやって杏寿郎さんの手のひらの上でコロコロと転がされ、そして甘やかされてしまう。
でも私達はこれで良いのだと思う。だって恋人同士の関係性なんて人それぞれなのだから。


「もう………」
彼の首に両手を回してぎゅっと抱きつく。私の大好きな彼の香りが鼻に入って来た。
ぽんぽん、と背中の傷に優しく触れられる大きな手。


「七瀬」
「何でしょう……」

「背中にも良いか?」
彼と目を合わすと、その双眸の中に優しくもしっかりと燃えている日輪の炎が存在していた。


「………綺麗に咲かせて下さいね」
「元よりそのつもりだ」


唇に一度温もりが降って来ると、体がくるっと回されて私の視界には敷かれている布団が入って来た。


「んっ……」
傷口のすぐ近くにまずはちりっとした刺激が2回。
続けて2回、また2回続くと一旦彼の唇が離れるけれど、それからすぐに優しい口付けが音を響かせて聴こえて来る。


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