第57章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎
「歴代の柱を務めていた方達の中にも必ず水柱と炎柱がいらっしゃったんですよね。その辺りも関係あるのでしょうか」
「……恐らくな」
「何だか責任重大だなあ。冨岡さん…俺、緊張して来ました」
「お前1人ではなく、俺達もいる。やる前からそう案ずるな」
「待たせたね。みんな」
4人で色々と話していると、目の前の襖がスッ……と開く。続いてお館様があまね様と一緒に客間へと入って来られた。
今一度、姿勢を正す私達である。
「それじゃあ当日の流れを確認していこうか。まず……」
石室周りの掃除をした後、4人が内部に入る。4つの方向それぞれにある柱に、担当の隊士が1番得意とする型を放つ。
私達4人がやる事はこれだけである。
所が——
「該当の隊士が細かく定められているのと同じく、再建をする日には必ずと言って良い程に鬼がやって来るようです。5代前までの記録を余す所なく確認したのですが、十中八九その鬼は12鬼月…下弦の鬼の事が多い。そう記してありますね」
これなんである。
炭治郎が心配するのも無理はない。私だって正直不安だもの。
けれども。
「これも不思議なのですが、4人の内の隊士の1人は必ず左手の甲に蠍の焼き印ある者—— そう記載されています。その焼き印を打ち払う術(すべ)は鬼の頸を切った後、それが灰になる前に将門塚に献上するべし。これで文が締め括られています」
そう、私にとって何が何でも決行しなければいけない事態なのだ。