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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第57章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎


夏の太陽がもうすぐ茜色の夕陽へと姿を変えるほんの30分前 ——
炎柱が継子の七瀬が栞、そして沙希と別れて家路につく途中の事だ。

家と家の間の路地の物陰から、地面に鎮座した1つの眼球が彼女を観ていた。眼球の下部には気味の悪い触手が複数付いている。

その1つ目に刻まれし文字は……「肆」






ベベン———
ベベン———

顔の上半分を前髪で覆う、黒髪の女が爪弾く琵琶が一帯に鳴り響く。彼女の名前は”鳴女”で上弦の肆だ。前髪の下にある1つ目にその刻印が記されている。

そして、あちらこちらに浮遊した異空間漂うこの場所の名称は無限城。鬼の始祖は鬼舞辻無惨…彼の本拠地である。


城内部の一角に1人の男と1人の女が隣同士で立っていた。
2人共、鬼である。
腰まである銀色の髪を一つ結びにし、群青色の着流しを着ている下弦の壱 “夕葉” その双眸の色は茜色だ。


「お前も呼ばれるって何なんだろうな」

「きっと私の美味しさにようやく気づかれたのよ。夕葉なんかより遥かに見目麗しい私のね」

「朝霧、相変わらず、性格悪いな。とっととくたばれ、虫唾が走る」


朝霧 —— そう呼ばれた女は夕葉と同じ下弦の鬼で、刻印は”弐”
腰まである艶やかな栗色の髪を1つ結びにしており、着ている着物は青藍色(せいらんいろ ※1)の小袖。瞳の色は曙色である。


「あら?嫉妬?やあね。男の嫉妬程醜い物はないわよ」

“女の嫉妬はどうしようもないぐらい惨めだろうが”

彼はこの言葉は口に出す事なく、胸の中に忍ばせた。


「無惨様、お見えです」
鳴女の静かな声が紡がれると、2人に一瞬緊張が走る。即座にその場に正座をし、頭を下げて目の前に両手をついた。








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※1……… 紫みを含んだ暗い青色
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