第8章 炎の息吹が開く時 +
隠の方に背負われ、着いた先は煉獄家。
私が継子になったので、これから出入りする事や、稽古を開始する事を槇寿郎様 —— 彼の父親へ伝えに行く。
先代の炎柱だ。
槇寿郎様が自室にこもっている事、以前と人が変わったようになってしまった事。
これらを前もって聞いていたので、あまり良い反応をしなかった事にもそこまで衝撃は受けなかった。
気遣いに感謝した。
「煉獄さん……来てしまってこんな事を言うのもあれですけど、本当に良いのですか?」
玄関で私達を迎えてくれた千寿郎くん — 彼の弟さんに改めて私を紹介すると言う事で、廊下を歩いている。
私は先程からの疑問を正直に吐露した。
すると ———
「構わん!父はあの通り、俺や千寿郎の行動に興味は示さない。故に家の住人が一人増えた所で問題はあるまい」
「わかりました。じゃあ……」
明日から槇寿郎様の朝食を自分が運びたい—— そんな提案を申し出てみた。
「お二人のお父様ですから、何もしないわけにはいきません。って言っても思いついたのがこんな小さな事で申し訳ないですけど……」
「いや、気遣い感謝する!では早速明日より頼む」
「はい!」
同じ呼吸を使う煉獄さんと過ごす日々。それは本当にかけがえのない物となっていく。
この時の私は、それをまだ知らない。