第47章 心炎八雲、甘い色香に混ざり合う ✳︎✳︎ ＋

目を閉じ、はい……と小さめの声で頷いた私を見る杏寿郎さんに、いつもの笑顔が宿った。良かった！ 元気になってくれたかな。

「次回とは言わず、すぐにでも協力してくれ」
「えっ、あの。それは……流石に早すぎかと」

うん、間違いない。普段の彼だ。

「むう」
「……杏寿郎さんは本当にせっかちですよね」

「とうにわかっている事だろう」
「ふふ、そうですね」

よーくよーくわかってます。あなたのこう言う所も凄く好きですよ。そんな事を考えながら一人含み笑いをしていると、下腹部の割れ目がするりとなぞられた。

んっ……急に触れないで欲しいな。びっくりするんだから。

「君のここへまたはいりたい」
「……わかり、ました」

はいりたいと言われると、断れない。本当ダメだな、杏寿郎さんに言われてしまうと。
照れ隠しで笑うと、抱きしめて口付けをくれる彼の熱さに、少し落ち着いていた気持ちがまた再燃する。


そうして混ざりあった私達は、互いの欲を受け止め合い、甘く心地よく溶けていった。






「ずっと君の中にはいっていられたら良いのだが……」

「私もずっとはいっていて欲しいなあって思うけど、なかなか難しいですよね」

「そうだな」

やりとりがひと段落した後は、湯浴みをし、彼と二人布団に入っている。寝巻きの上から私の腹部に大きな右手を当てる恋人だ。

「杏寿郎さんがたくさん労ってくれて、私凄く嬉しかったです」
「ならば良かった！」

杏寿郎さんの笑顔を見て安心したのか、ふわあと小さなあくびが出た。今何時なんだろう。
壁かけ時計を見る彼の視線を追うと、時刻は午前三時になろうとしていた。

「おやすみなさい」

眠気が限界に達し、まぶたを閉じると、あたたかな唇が二度落とされて口元に笑みが浮かぶ。

「大好きです」

彼に告げた瞬間、すうと眠りの世界へ誘われて意識が途切れた。