第47章 心炎八雲、甘い色香に混ざり合う ✳︎✳︎ +
「本当に幸せそうな顔をするな、君は」
私の左頬をゆっくりと大きな右手が包んだ。
「はい…大好きな人と繋がれる瞬間だから、幸せだなって心から思います」
「同じだ。俺も君と繋がるこの瞬間が本当に愛おしい」
彼の律動が始まると、また恋人の炎を締め付ける私の中。
「杏寿……さん…好き…」
「ああ…もっと…はあ…君の声を…聞きたい」
パン…と打ちつけ合う音。結合部からあふれる水音。
熱く熱く温度が上昇するお互いの体と気持ち。
「ん、もっと……強く、あぁ…!!」
「はあ……ここ、だろう?」
ズンと子宮に繋がる最奥を一度突かれると、悲鳴に近い声が口から出てしまう。ズン、ズン、と強い律動が体響く度に、息と声が自然とこぼれる。
苦しいけど、気持ちいい。そんな不思議な感覚を全身で味わっていると、もっともっと彼が欲しくなる。
「んっ、はぁ、きょ、じゅろ……さ……来て…」
——— 私の中にきて欲しい。
喉元まで出かかったけど、これは必死に抑えた。今はまだ口に出せないから。
「七瀬…七瀬……くっ…」
彼の男根が勢いよく抜かれると、私のお腹に吐き出される白い欲望。
「は……あ……」
いつも余裕の恋人がこの瞬間だけは、そうじゃなくなる。
私はこの彼を見れるのが凄く好きだ。
呼吸を整え終わった後、杏寿郎さんは文机に置いてあるちり紙で私のお腹の白濁を丁寧に拭き取った。
終わると上からぎゅっ……と抱きしめてくれる。
汗の粒が浮かんでいる彼の背中をゆっくりと撫でていると、上から一つ優しい雨がおでこに降って来た。それから唇を親指でゆっくりとなぞられる。
「来てほしいと言われて、一瞬だが出してしまいそうになったぞ。君の中に」
「…言ってましたね…」
それだけじゃなく、あの時は自分の中に入って来て欲しかったのだ。思い出すだけで全身がまた熱くなって来る。
でも —— いつかはそう言う事になったら。
その時私は杏寿郎さんにとってどんな存在になっているのだろう。