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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第46章 八雲心炎、燃ゆる立つ



『よく晴れてる……』


私は庭に大の字になり、よく澄み切った空を見上げていた。

「大事ないか?」
真上から覗き込んでくるのは杏寿郎さんだ。

「はい」

ゆっくりと体を起こし、彼から手拭いを受け取ると、額を拭う。
汗と共に付着したのは、僅かな土汚れだった。
ふう —— と長をはくと、私は口を開く。


「やっぱり杏寿郎さんは強いです、完敗ですよ」
「師匠が弟子に簡単に負けるわけにはいかないからな」

前回の勝負が終わった時と同じ事を言うと、彼はよしよしと私の頭を撫でてくれた。

「兄上、七瀬さん! お疲れさまでした! どうぞ、お水です」

千寿郎くんが顔を輝かせて、私達のもとに駆け寄ると、その後ろから槇寿郎さんもやって来る。

「2人共、お疲れ様。とても良い勝負だった」

「ありがとうございます、父上」

「……槇寿郎さん、ありがとうございます……私はまだまだです。それでも先代の炎柱にそう言って頂けて……とても光栄です」


私は2回目の勝負も師範に負けてしまった。





あれから湯浴みを済ませ、昼食を済ませ、着替えを済ませた後、自分の部屋で記録帳を書いている。

もちろん杏寿郎さんとの勝負について。それから捌ノ型の事も。
その時襖の外から名前を呼ばれたので、応対。
相手は杏寿郎さんだ。

「今、いいか?」
「はい、大丈夫です」

恋人を部屋に招き入れると、ニコッと笑った彼に優しく抱き寄せられた。

「どう……したんですか?」

少し驚いたけど、私は大きな彼の背中にいつも通り両手を回し、左耳を杏寿郎さんの心臓の位置に寄り添うようにあてる。


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