第43章 ★ 獅子なる星が降る夜に〜彼目線〜 ★ ✳︎✳︎
11月中旬。
秋も深まって来た静かな夜…俺は任務が終わり、自宅に戻って来た。門扉を開け、中に入る。すると、庭に人がいる気配がある。
…こんな23時も回った時間に誰だ?父や弟はとっくに寝付いているはずだ。となると考えられるのは後1人。
継子の沢渡だ。寒い中、何をやっているのか。俺はふと目線を真上に上げてみた。満天の空から次々と流星が降って来ている。なるほど、これを観ているのか。
そのまま庭に行ってみると、予想通り継子が防寒をして夜空を見上げていた。
「うむ!見事な夜空だな」
「え?」
彼女が面食らったような顔で振り返る。流星に夢中で俺の気配には全く気づかなかったようだ。
「あれ?師範、任務に出かけられたんじゃないですか?」
「もう終わった」
そう答えを返すと、あっけに取られた表情をする沢渡。
そして俺の元に駆け寄って来た。
「ずっと見ていたのか?」
「はい!以前から見れるのを楽しみにしてたので……」
やや興奮気味に答えを返して来る彼女だ。確か沢渡は星が好きだと聞いた事がある。
それ故か。
「流星群を見るのは初めてですか?」
「ああ。鬼殺をしているとなかなかこうやって星を見上げる事もないからな」