第42章 緋色のあなたへの贈り物 〜さつまいもの甘味を添えて〜 +
帰宅したのは、次の日の四時過ぎ。
隊服から寝巻きに着替え、約束通り彼の部屋に行くと、ぐっすりと寝ていた。
いつもながらの可愛い寝顔にホッとする瞬間だ。
でも布団に近づくとぱちっと日輪の双眸が開き、いつかと同じようにおいでと手招きされたので彼の隣にスルッと入り込んだ。
「お待たせしました…」
「お帰り、七瀬…やっと君に触れられる」
まだ薄暗い夜明け前。私は1日遅れで全ての贈り物を渡す事が出来た。
体のいたる所に落とされる優しい雨を十二分に感じる。そして恋人に塗ってもらった緋色と橙色の爪先にもたくさんたくさん口付けを貰った。
「おはよう、良い朝だな! 稽古をするぞ」
「おはようございます、杏寿郎さん。はい…今日も頑張ります」
この日のお昼過ぎ、炭治郎からも手紙が届く。
その内容は………カナヲとの事で相談したい事がある——
後輩2人の話、と言うのは一体なんなのだろう。
頭に疑問符をたくさん浮かべながら、私は2人に返事を出した。