第6章 諦めないこと、続けること、信じること
「では行くか」
「はい!」
墓地の出入り口までの短い距離ではあったけど、私は結局渡した手紙の内容の大半を伝えてしまった。
「すみません、何だかこの話は直接お話したくて……手紙書いた意味がなくなっちゃいました」
「気にするな!そう言う事はある」
煉獄さんにせっかく会えたから直接話したいな……と思ったのもある。なんだろう。初めて会った時に彼の前で思い切り泣けたからかな。自分の思いをとても素直に出せる気がするんだよね。
この胸の内の感情には覚えがあったけど……
巧が亡くなった穴埋めをしようとしているんだ。
これは自分の勘違いなんだ。そう言い聞かせて、この時は心の奥底にある感情の蓋をパタン、と静かに閉めた。
そうだよ、私は1人になって寂しいだけなんだ。
ただ、それだけの事だ。
と、考えていたのに。
別れる間際に「その着物、君によく似合っているな」と言われた。
「えっ……ありがとうございます」
一瞬あっけに取られたけど、何とかお礼を彼に伝える事が出来た。でも……そう言う事言うのはずるくないですか?
煉獄さん。
自分の胸にあたたかいけど、ぎゅっと締め付けられるような感覚が心地よく通り抜けた。