第37章 不機嫌な萌黄に八雲謝る、の巻
その後はそれぞれが頼んだ甘味を食べ終わるまで、4人で色々な話をして私達はお店を後にする。
沙希は白石くんに送ってもらうと言う事で、同じ方向に。
私は村田さんと途中まで一緒に歩き、それから買い物をして帰宅した。
★
「ただいま帰りました」
玄関先から声をかけると、千寿郎くんが中から迎えてくれる。
お帰りなさいと声を掛けてくれた彼に、お土産だよとわらび餅が入った包みを見せると、パァッと顔が輝いた。
「今、俺1人なんです。父上と兄上はご一緒に出かけてて。そろそろ戻られると思うんですけど……」
「あ、そうなんだね。じゃあ2人が帰宅するまで待っておこうか」
そんな会話をしてる矢先に丁度、玄関扉がガラッと開いた。
「今、帰った!」
「ただいま」
「お帰りなさい!お土産買って来たんで、ご一緒…あれ?」
杏寿郎さんが手に持っているのは、私が買って来たわらび餅の包みと同じ物だった。
「ん?どうした七瀬さん?」
槇寿郎さんが言葉を引っ込めた私に聞いてくる。
「父上、兄上、お帰りなさい。これです…」
「ほう、これはまた」
「偶然だな!!」
言葉が出ない私の代わりに、千寿郎くんが手に持っているわらび餅の包み紙を見せる。すると、2つの朝日はにっこりと笑顔になった。