第36章 3日分の炎 ✳︎✳︎ +
「ん……」
左側の首元に彼の唇が届くと同時にちりっとした痛みが私の肌に響く。
「ちょっと…そこは見え……」
「ん?そうか?ぎりぎりの所だと思うが……」
そうだった。私の恋人は優しいけど、こう言う意地悪な所もあるんだった。
「もう2つ程……」
「えっ?ちょっと、杏寿郎さ、ん」
先程と同じように2回連続して、ちりっとした痛みが首元に染み込んだ。
「綺麗な花が3つ咲いた」
「もう…嬉しそうですね?」
「……まあな」
ちう……と唇に口付けが落ちた。
「それから七瀬……以前も言っただろう?そう言う顔は全く怖くないし、俺を煽るだけだ、と」
私の唇を彼が再度塞ぐ。水音が互いの唇の間で響く。
「もう少し……開けてくれ……」
「は……い……あっ……」
熱い舌がいつもより奥まで滑りこんでくる。
思わず自分の舌を引っ込めてしまえば、彼の舌が逃さないとばかりに追いかけてきた。
「んんっ……」