第36章 3日分の炎 ✳︎✳︎ +
下を見てみれば、はだけた着物から晒されている鎖骨と胸元。これは恥ずかしい。
「もう脱がしてしまうぞ」
「あ……」
私が答えに迷ってる間に紐を解かれ、バサっと着物を落とされた。
「綺麗な体だ」
真っ直ぐに立つ私を見て恋人はそう言ってくれる。
「……傷、それなりにありますけど」
背中だけじゃない。小さいものばかりだけど、少なくはないと思う。
「それも含めて、綺麗だと俺は思うぞ。傷は君が必死で鬼と戦った軌跡だろう?」
そんな風に言ってくれるんだ。嬉しい。
「ありがとうございます。やっぱり杏寿郎さんは優しいです」
彼が自分の着流しを脱ぎながら私との距離をスっと縮める。
恋人の衣服がバサっと落ちると、大小様々な傷痕が逞しい体と共に私の視界に入って来た。
そしてトン、と私の体が後ろにある布団にゆっくり倒される。
杏寿郎さんが自分の下着を取り払うと、私の下着も取り払ってしまった。
「優しい……か。光栄な言葉だが。七瀬、こうしても同じ事が言えるか?」
——— 彼の瞳に獰猛な感情が宿った。