第35章 緋色の戸惑いと茜色の憂鬱
色んな角度から私の唇をじっくり堪能するように。たくさんたくさん…温かい熱と気持ちを届けてくれる。
唇を離すと、銀糸がいつも通り繋がっており、安心した笑顔の彼が私を見ていた。
「やはり君には毎日触れていたいし、毎日繋がりたい」
「え、毎日ですか?」
それは光栄だけど、何と言っても杏寿郎さんって。
「嫌なのか?」
「いえ!そんな事は決してないのですけど」
「けど、何だ?どうした」
私の左頬を大きな掌で大事そうに撫でてくれる。
「いえ、杏寿郎さんは体力がすごいじゃないですか……」
顔が真っ赤に染まるのがわかる。
「ほう?」
ああ……悪い笑みしてる………。
私は確かに一般の女の人より体力はある、と言えるけど。言えるけど……!!
「だからついていくのが正直大変なんです」
真っ赤な顔を見られるのが恥ずかしいので、恋人の胸に顔を埋めた。もう耳まで赤い。するとくつくつ、と笑う声が頭上から聞こえる。
「それはすまない!と、そう言いたい所だが、君を抱くのに加減はとても出来なくてな。3日分の愛情を君に贈りたい。受け取ってくれるな?」
「えっ、加減出来ないって………」
3日分。
私………体が持つかな?