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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第34章 岩柱・悲鳴嶼行冥 +




ドドドドド…


「観自在菩 行深般若波羅蜜多時(かんじざいぼさつ ぎょうにんはんにゃはらみったじ)……」


ここは岩柱・悲鳴嶼行冥の屋敷裏から十分程山中に向かった場所に存在している滝だ。
春先と言えども、山の気温は肌寒い。そんな環境の中、滝行に励んでいる男が三人。

行衣(ぎょうい)と呼ばれる白装束を纏った岩柱と炎柱、そして岩柱の弟子で風柱の弟である。









「悲鳴嶼殿はいつもこれをやっているのか! 凄いな!」

「大した事ではない」

「煉獄さん、俺は悲鳴嶼さんと違って全く慣れません。向き不向きもあると思います」

「ははは! そうか! 七瀬も十分ともたなかったと散々言ってたな。俺は大変に面白かった!」

『やっぱ、柱って俺とは感覚が違うわ……』


行冥の弟子 —— 不死川玄弥は座卓の体面側に座している、二人の柱を見ながら感嘆している。
男達が手に持っているのは行冥の大好物である、炊き込みご飯。

滝行から岩柱邸へ帰宅して十五分。
しかし、柱二人は普段と変わらぬ様子で食している為だ。


『俺、これを普段通り食えるようになるまで三ヶ月かかったんだけどな』


玄弥はどんぶりに入っている炊き込みご飯を、一口一口噛み締めるように食べる。彼の脳内に浮かぶのは炎柱の継子である七瀬の姿だ。


『師匠が偉大だとさあ、弟子は大変だよね。それでも頑張ろう? 自分が出来る事から少しずつ』

『玄弥、聞いて!師範に全然勝てないの。剣術はもちろん、娯楽のかるたも』


“うまい!” と大きな声を発しながら丼の中に入っている昼食を口腔内にかきこんでいく杏寿郎。
そんな清々しい彼を見ていると、思わず笑顔がこぼれる玄弥だ。


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