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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第33章 風柱・不死川実弥 +




七瀬の唇をつまんでいた指が離れた代わりに、今度は彼女の左頬がそっと包まれた。
大きくてあたたかな掌(たなごころ)だ。


「やっぱり私の考えている事は杏寿郎さんにすぐ把握されちゃうなあって……」

「それぐらい君の事を見ているんだ。これも以前言っただろう?」

「そうでした」


杏寿郎の顔が七瀬に近づく。
包まれた頬を撫でられながらの口付けだ。ちう、と啄み合う感触が互いの胸に多幸感をもたらせていく。


「んっ……もう…!」

ぬくもりが一度は離れるけれど、杏寿郎の尖った舌が七瀬のふっくらとした唇の輪郭をつつ……と辿る。


「嫌か?」

「私が嫌って言わないの、わかってるでしょう?」


じとっと自分を睨む恋人の目線と言葉に満足した彼は、また一つ七瀬の唇に柔らかな雫を落とした。


「そうだな」

「んっ、またはいる、んですか?」

「ああ、但しそれだけだ」














「……」

『幸せそうな顔だな』


杏寿郎は発言通り、七瀬の中に入るのみで、律動をしない代わりに口付けをたくさん施した。
激しい物ではなく、ひたすらに甘く柔らかい愛撫だった。


『気圧が変化する時はこの方法にするとして…』


彼が視線をやった先は自分の下半身だ。
ピンと昂った己の欲は、外に吐き出さないとどうやらおさまりそうもない。


『七瀬を起こすわけにもいかん。己でどうにかせねば』


その後、体に溜まった強火の欲を処理した彼は、恋人をしっかりと自分に抱き寄せて眠りについたのだった。



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