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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第33章 風柱・不死川実弥 +



「我が家の隠は父の事が大好きでな。先日弟に再び稽古をつけ始めた様子を見た際は男泣きと言うのか? それをしていた」

「内田かァ。長友からしょっちゅう話出るなァ」

「父が以前のように明るくなった事が嬉しい。我が家に配属になって一番嬉しいのだ、と人目も憚らずに泣いていた」


杏寿郎の脳内に思い浮かぶのは、内田が良かった良かったと何度も呟きながら、屋内に入る姿だ。


「何だ、お前も人の事言えねぇなあ」

「そうだろうか? 確かに俺も内田くんの事は好いている! 無論隠としてだがな!」

「わかってらァ」


おはぎを食しながら和やかに会話をしている二人。ほうじ茶を飲み、一息ついた実弥はこれが本題だ —— そう言わんばかりの表情に切り替え、杏寿郎に話を切り出す。


「本人にも言ったが…あいつの太刀おもしれェな」

「ん? ああ、七瀬の事か。そうだな! 二つの呼吸を合わせながらの戦法は確かに珍しい。竈門少年と彼女、鬼殺隊内ではこの二人だけかもしれん」


竈門炭治郎 ———

実弥の脳内にこの時思い浮かんだのは、いつかの柱合会議で自分に頭突きを浴びせて来た一般隊士の姿である。
一瞬だが、彼の右拳に力が入った。


「先日の赤坂氷川神社の任務でも、見事な連携を見せていたぞ!」

「ふうん、そうかい」

「二人は姉弟子・弟弟子の間柄でな……」

「そういや、あいつらの兄弟子は冨岡だったなァ」


実弥は杏寿郎の話を聞きながら、今度は脳内に無愛想な水柱の顔を思い浮かべていた。


『辛気臭いヤツと同門の隊士はどんなもんかと思ったが…沢渡は案外普通だったなァ。いや、違う』


「煉獄の継子になるぐらいだ。普通じゃあねェな」

「不死川、それは七瀬の事を悪く言っているのか?」

「違ェよ。大したヤツだって意味だ」

「そうか? 君にそう言って貰えると嬉しいな!!」


継子を厳しい実弥に褒められ、途端に機嫌を直す炎柱である。


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