第5章 水の呼吸に導かれて
「お前がこれから歩もうとしている道は死ぬより辛いかもしれないぞ」
開口一番、育手にそう言われた。
死ぬより辛いか。
だったらそれは今この時かもしれない。家族の中で私1人だけ生き残ったこの状況が。
目頭が熱くなって来るのをグッと堪えて歯も食いしばった。
「…必ず生き抜きます。せっかく助けてもらった命なので」
「そうか」
それだけ彼は言うと、私に小屋の中に入るように促した。
こうして鱗滝さんの元で鬼殺隊に入隊する為の日々が始まった。
言われた通りの辛く過酷な訓練で、最終選別も半泣きで挑んだ。
そして1年半後。
無事に鬼殺隊に入隊出来た私は、水の呼吸の使い手として鬼狩りの道を進み始める事になる。