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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第30章 可愛いとかわいい ✳︎✳︎ +





「こうやって杏寿郎さんが頬に触れてくれるのも、凄く好きです」

「俺も君のここに触れるのは、気に入っている」


ずっとこうして撫でて貰いたい。
嬉しさで胸がいっぱいになった私は、先程彼に伝えようとしていた事の続きを話し始めた。


「私、さっき天に召されるかと思いました……」

「む! よもや、きつすぎたか??」


慌てた彼が私の腰をゆっくりとさすり始める。一生懸命に気遣ってくれる杏寿郎さんはやっぱりかわいいな。


「違いますよ、そうじゃなくて……あの…それぐらい気持ち、良かった……です」

「そうか、俺も同じだ」

「良かったあ」

「七瀬は、やはり可愛いな」


ぎゅうと体が抱き寄せられた瞬間、彼の背中に両腕を回す。もっと可愛いって言ってほしい。もっと抱きしめてほしい。


「えっ、杏寿郎さん……まだ固い ?? 」

「う、む…そのようだな」


そんな自分の欲が通じたのか。私のお腹に当たっているのは、ピンと勢いよく反り上がっている彼の昂りだ。
言ってみようかな、今夜の事。


「あの……私、今日は非番……です」

「ああ、知っている」

「ですよねー……」


知っているのなら、期待しても良いのだろうか。


「………」

「………」

二人の間に訪れるのは静かであたたかい沈黙だ。会話が途切れても全然気まずくないって幸せだな。


「七瀬」

「はいっ、んぅ」


自分の背中に回っている彼の両腕が右手だけ離れた。
けれどすぐに私の左頬が大きな掌に包まれる。口付けをされながら、そこを柔らかく撫でられると訪れるのは大きな多幸感。


「また君と気持ちよくなりたい。良いか? 」

「ふふ、私も杏寿郎さんと同じです」

「そうか! であればやってみたい事があるのだが」

「? やってみたい事、ですか?」


何なのだろう。彼のしたい事って。


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