第30章 可愛いとかわいい ✳︎✳︎ +
「もう起きて大事ないのか?」
「はい……」
しばらく横になっていたら、大分体が楽になった。
「昼食の用意、お手伝いしてきます」
台所に向かおうと布団から出ようとすると、彼がギュッ、と後ろから抱きしめてくる。
「まだ君と二人でいたい」
「杏寿郎さん、それは嬉しいのですが……お腹空いてません?」
「うむ。思い切り空いている。お預けは辛いのだが……」
「お預け……?」
あ!さっきのあれの事か!いやでも、私もお腹すいてるしなあ。うーん。困った。あ、これならどうだろう?
「あの、お芋もふかして来ますから行かせて下さい」
「む……そうか」
私がそう言うと、彼は名残惜しそうにしつつも腕を外してくれた。やっぱりさつまいもの効果はすごい。
「美味しいの、作ってきますね」
「ああ。楽しみに待っている」
私は恋人にちゅっ……と1つ唇への口付けを贈って台所に向かった。