第20章 ほどけない夜が明けた後は ✳︎✳︎
昨日俺に見せる事をかなり躊躇していたぐらいだ。
「辛い」「嫌だ」傷に対してそういう言葉を俺に発した事はない君だが、内心はやはり複雑なのだろうな。
しかし、この傷も君の一部。七瀬が鬼と必死で戦った軌跡だ。
俺はより一層、彼女が愛おしくなり、労うように背中の傷を優しく撫でた。
ああ、そうだ。この話をしておかねば。
「七瀬……恋仲になったと言う事で提案があるのだが」
俺がそう伝えると「……何でしょう」と不思議そうに聞き返して来た。
「こちらの家に来ないか?……完全に」
「あ……それ、私も相談しようと思ってましたよ」
「そうなのか?」
そして彼女から竈門少年と栗花落少女が最近恋仲になったと言う話を聞く。ふむ、竈門少年も隅におけないな。
「禰󠄀豆子もいるし……と言う事で、なりゆきで始めた同居生活でしたけど、カナヲは内心嫌だろうなってちょうど考えてました」
彼女は顔を上げると俺と向き合った。
「私がカナヲの立場なら、やっぱり複雑なので」
「そうか……」
俺はそう呟くと自分のおでこをコツン、と七瀬のおでこに当てる。
「少年達を疑うわけではないが、やはり若い男子。今までは何があっても仕方がない、と割り切れていたのだが……」