第20章 ほどけない夜が明けた後は ✳︎✳︎
「七瀬、恋仲になったと言う事で提案があるのだが」
「……何でしょう」
「こちらの家に来ないか?…完全に」
「あ、それ。私も相談しようと思ってましたよ」
「そうなのか?」と聞き返して来る杏寿郎さんに炭治郎とカナヲの話を伝える。
「禰󠄀豆子もいるし……と言う事で、なりゆきで始めた同居生活でしたけど、カナヲは内心嫌だろうなってちょうど考えてました」
私は顔を上げると、杏寿郎さんと向き合った。
「私がカナヲの立場なら、やっぱり複雑なので」
「そうか……」
彼はそう呟くと、自分のおでこをコツン……と私のおでこに当てる。
「少年達を疑うわけではないが、やはり若い男子。今までは何があっても仕方がない、と割り切れていたのだが」