第19章 獅子なる星が降る夜に ✳︎✳︎ +
自分の短い髪に優しく優しく、手を通してくれる手からあたたかな気持ちが伝わって来るようだ。
「君は本当にかわいいな」
「ありがとうございます。好きな人からの”かわいい”は物凄く嬉しいですよ」
「しかしな、七瀬」
私は返答を待つ。なんだろう??
「今こうして俺の腕の中にいる君は……凄く綺麗だ」
「えっ、泣いても良いですか」
じわっと目尻に涙が滲む。するとカラッと笑う杏寿郎さんである。
「ははは!泣くのか」
「だって…」
「どうした?」
“好きな人から言って貰う綺麗は本当にそうなるんだよ”と。
女性隊士から聞いたと告げると、楽しみだ!と言う彼だ。両頬がそっと包まれ、額がコツンと重なる。
『大好きなあなたに”綺麗”って言ってもらえて本当に幸せです』
当たっている額からどうか伝わりますように…と気持ちを送ってみた。
「続けるぞ」
互いの額が離れる前に、一つ小さな愛撫が落ちる。
そうして私はこの日何度目になるかわからない口付けを貰い、濃密な夜の予感に心を揺さぶられ、2人で混ざり合い、溶け合った。