第15章 恋舞う蝶屋敷
しのぶは目の前の七瀬がため息をつく様子をみて、自分もため息をつきたい……と、心の底から感じていた。
『思い切り態度に出してるじゃないですか。こうも本人に伝わらないものですかね?この子は鈍感な方ではないけど、自分の事とな
るとそのあたりの感覚が鈍るものなのでしょうか……』
彼女はうーんと逡巡した後、こう言った。
「あなたもご存知でしょうが、女性隊士の中で煉獄さんに憧れてる方はかなり多いですよ。ぼやぼやしてるとあっと言う間に人のものになるかもしれませんねー」
そんな言葉を七瀬に投げかけてみると、彼女は予想通り「うっ」と言葉に詰まった。
更に追い討ちをかけるように、しのぶは続ける。
「私達は明日生きてるかどうかもわからない日々を送っています。
思う方がいるのなら、結果がどうあれ、伝えた方が良いのではないですか」