第7章 試練
雛「まだ、天元様が最初に言った言葉が許せない?」
「…いえ、言われて当然だと思いましたから、仕方ないことだと。私が天元様の立場になれば同じことを言っていたと思います」
苦笑して、手甲鈎を撫でる。
ーお膳立てして貰っていい身分だな。そんな覚悟で最終選別なんか受けたって無駄だ。良家の子女様。
もちろん、その状況に甘んじるつもりなど無かった。だけど、その覚悟が相手の目に見えるわけではない、鍛錬の中で認めて貰うしかない。そう覚悟を決めた。
気を引き締めて貰った、あの時の言葉はこの先も忘れない。
「それに、まさか天元様のお嫁さんが皆私の味方をしてくれるとは思ってなくて、とても嬉しかったです。甘い覚悟で鍛錬を申し込み、ましてやお館様を使って無理やり話しを通す人間なんか許してもらえるとは思っていなかったですから」
ま「今の月奈は頑張ってるよ。天元様のあの言葉で泣いて帰るならそれだけの覚悟だったとそれで終わるけれど…」
須「まさか、覚悟が見えなければ放り出してくれ。なんて言って土下座するから驚きましたよね!」
雛「でも最初から覚悟が見極められるはずがないからしばらく見ていて欲しい、だったかしら」
「…皆さんよく覚えていますね…お恥ずかしい限りです」
自分の行動を思い返すと無謀過ぎて自分でも呆れる。
あの時の天元の顔はまさに…
天「呆れたよな、あれは」
煉「月奈!迎えに来た…ぞ…」
「杏寿郎様!ありがとうございます!…?」
足を止めた杏寿郎は、月奈の顔をみたまま固まっている。
天「…あ、また派手に鼻血出てるぞ月奈」
(!!?)
慌てて鼻の下に触れると、確かに鼻血が出ていた。
わぁぁ!!と叫んで手ぬぐいを押し付ける。
(さっきの蹴られた衝撃かしら!?)
煉「よもや…宇髄…また、だと!?」
え?と天元が横にいる杏寿郎を見るが、既にそこには姿が無い。視線を月奈に戻すと、その場に杏寿郎はしゃがみこんでいた。
「大丈夫ですよ、杏寿郎様。すぐ止まります…ひゃっ!!?」
煉「宇髄!すまんな、すぐ連れて帰るぞ!」
「え?…ちょっとおぉぉおおおおぉ…!!?」
問答無用で月奈を抱き上げた杏寿郎は、天元に断ってから返事を聞かずに去って行った。残されたのは月奈の叫びだけだった。