第7章 試練
館「そうか、ではついておいで」
あまねの助けを借りて立ち上がったお館様は、月奈を手招きとある部屋へと向かった。
館「待たせたね。月奈を連れてきてくれてありがとう」
部屋に入ると、待機していたしのぶ、義勇、煉獄の三人は頭を下げて入室を待っていた。月奈も慌てて三人に並ぼうとしたが、お館様が止める。
館「月奈はこちらに座ってくれるかい。皆顔を上げて…さて、月奈のことだけれど」
下座に座る三人が頭を上げて姿勢を正したことを確認すると、お館様はゆっくりと話し出した。月奈は上座に座ることとなり、落ち着かない気持ちで視線を彷徨わせる。
館「少し話をしてみて分かったことは、中々に機転が利く子だということ。そして、杏寿郎やしのぶから受けている報告では、身体能力は悪くないということだったね。これを踏まえて、最終選別で生き残る可能性はあると私は判断する。月奈の気持ちは先日と変わらず鬼殺隊に協力したいということだ」
それはつまり…
しのぶと義勇は視線を落とし何かを言いかけたが、ぐっと黙り込んでしまった。
煉「お館様のご判断ならば、従う他ありません!ただ一つ気にかかるのは、月奈は剣術を学んではいないという事です。選別に行く前に鍛錬が必要かと」
そのことだけれど、とお館様が微笑んで月奈に視線を向ける。見つめられた月奈は姿勢を正して次の言葉を待った。
館「先日の襲撃の時に、簪を使って戦ったと聞いている。体術が使えて、小さな簪でも応戦出来たとなれば、剣術を新たに学ぶよりも、今技術がある体術を鍛えるほうがいいかと思ってね」
師として一人、心当たりがあるんだ。
とお館様が言うと、しのぶが言葉を発した。
し「それはもしかして…宇随さんでしょうか」
(うずい…?)
首を傾げた月奈にお館様は優しく教える。
館「音柱の宇随天元だよ。忍びの家系出身であり、お嫁さん達もくのいちだ。体術を学ぶにはもってこいの師かと思うのだけれど、どうだろう?」
(嫁…達?なんで複数形?)