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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第6章 迷いと決意



「~!!っ杏寿郎様!」

月奈が声を上げると、杏寿郎は腕を離し立ち上がる。
立ち上がった杏寿郎を睨む月奈の顔は真っ赤に染まり、ワナワナと唇は震えている。

ーなるほど。男女どちらでも、信じるに値する人間には警戒しない、それゆえの無防備さ。存外面白い。

ふむ。と口元に手を当てて月奈を見つめ返す。手で隠した唇は楽しさに弧を描いている。
意地悪するなんて酷いです、杏寿郎様!と怒って月奈は診察室を出て行ってしまった。
残された杏寿郎は自分の行動の理由に気付いて自嘲的な笑みを零す。

煉「よもや…俺は月奈に恋慕の情を抱いていたのか」

まさか嫉妬に駆られて月奈を虐めてしまうとは、自分の狭量さに驚く。
今は最終選別のことがある、恋慕に現を抜かしてなどいられない。この気持ちは自重せねば。

ーだからといって逃すつもりはないが。

獲物を見つけた獣のような鋭い瞳は、瞬きとともにいつもの表情に戻った杏寿郎は、月奈を追いかけるべく、悠然と部屋を出た。



「しのぶさん!杏寿郎様をどうにかしてください!」

煉「心外だな月奈!先ほどの事は君が悪いだろう!」

実弥と別れ、廊下を歩いていたしのぶは真正面から走ってくる月奈に驚いて立ち止まった。その背中に隠れた月奈は杏寿郎を指差して「意地悪されました!」と訴える。

し「意地悪…?煉獄さん、月奈をいじめたのですか?」

煉「俺は月奈の、男に対しての態度について話しただけだな!さすがに無防備すぎるので今後苦労するのが目に見えている!」

あぁ、それは確かに月奈が悪いですね。としのぶは相槌を打った。

「味方してくれないのですか!?しのぶさん!!」

と悲痛な叫びを上げた月奈の肩に一羽の鴉が止まり、三人ともがピタリと動きを止める。
首に上品な布を巻いた鴉は、静かな声でお館様からの呼び出しを伝えた後、すぐさま飛び立っていった。
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