第6章 迷いと決意
実「で、月奈は何してたんだァ?」
出直すといいつつ、横に腰を下ろす実弥に月奈は嬉しくなる。心配してくれていることが分かるからついつい頬が緩んでしまう。
「最終選別について考えていました」
実「…皆に反対されてるんだろォ。煉獄だけは違うようだけどな」
「杏寿郎様は他の隊士の方と問題無く過ごせていますか?私の行動に賛成したことで、何か起きたりしていませんか?」
それは無い、心配すんなァと優しく頭を撫でてくれる。
月奈の存在自体は、柱の中で周知されているが、実際に会っているのはしのぶ、杏寿郎、義勇、実弥の四人だけだ。
「鬼殺隊のことをよく知らない稀血が、最終選別を受けたいとお館様に話したなんて。失礼すぎますよね」
(ましてや、剣術の類を習ったこともない人間だなんて)
実「鬼殺隊を知らずに生きることが普通なんだ。それに、稀血だからこそ、鬼がいる世の中を生きていくのが大変だっていうことは皆分かってることだァ」
「守って欲しいという気持ちで鬼殺隊に身を置きたいという訳ではありませんが、そう思われても仕方ないですよねぇ…」
月奈は大きくため息をついてから、頬をパチンと両手で叩いた。
「選別がどうであれ、自分を守る術を身につけるいい機会と捉えて頑張ります。実弥様、私ずっと誰かに守ってもらっていたんだなぁって最近思うことが多いのです。その全てにというのは無理としても、少しずつ恩返ししていきたいです!」
ニコリと笑って、実弥にギュッと抱き着く。
実弥は驚いていたが、そうかァと微笑んで背中を撫でてくれる。
し「あらあら、不死川さん。私を探していたと聞いていたのですが…」
廊下にはしのぶと杏寿郎の姿があった。
どちらともなく離れると、何事もなかったように実弥はしのぶに話をしている。