第6章 迷いと決意
蝶屋敷に戻って4日が経ち、傷が塞がってきた月奈は庭に下りる縁側でぼぅっと座っていた。しのぶと義勇と話してから、最終選別について詳しく聞いたが、自分がいかに無謀な事を言っていたのかを知り恥ずかしくなった。
(7日間も鬼がいる山の中で生き延びるって何?)
「そもそも、剣術もろくに習ったことないし、体術だけで生き延びるなんて…」
(絶対無理!!)
はは、と乾いた笑いが出てくる。
ーお館様に事情を全て話して、最終選別に参加せずとも鬼殺隊に入れて貰えないか聞いてみましょうか?
しのぶからの提案を聞いた時に、自分は最終選別で生き残る力がないのだと言われた気がした。
確かに、柱である者からお館様にお話しすれば、何か違う方法で鬼殺隊に入ることが出来るかもしれない。
だけど、月奈はそれを断った。
(そんな軽い覚悟で入っても意味が無い。特別扱いを受けられるような能力は自分には無い)
「鬼を倒さずとも、生き延びることが出来れば隠になれるかもしれない…か」
?「月奈、胡蝶を知らねぇかァ」
声がした方を見ると、白い髪に隊服をはだけさせた男が立っていた。風柱の不死川実弥だ。
「実弥様、こんにちは!しのぶさんなら、今は入院患者の診療に回っていると思いますが」
先日、稀血の隊士がいると冨岡に聞いて会わせて貰った時は、その風貌にとても驚いた。しかし、話してみると月奈の気持ちを汲み取って話をしっかり聞いてくれる優しい人だった。
実「あァ、間が悪かったか。出直すかァ」
はだけた隊服から除く体には無数の傷跡があり、痛々しい。それを自分で傷つけたというから更に驚いた記憶がある。
稀血といえど、実弥はさらに珍しい血で、鬼を酩酊状態にできると聞いている。それを戦いに活かしているので、稀血も不都合ばかりではないのかもしれないと思えた。
同じ血を持って、鬼殺隊の柱となっている実弥は、月奈にとって、人生の先輩であり、兄のような存在となっている。