第6章 迷いと決意
煉「それは…すまないと思っている」
「しのぶさん!これも私が勝手に行動したからです。これに関しても杏寿郎様の謝罪は必要ありません。寧ろ五体満足でここに戻れたのは杏寿郎様のおかげですよ」
ホラ、としのぶの前に立って両腕を広げて見せる。
大きなため息をついてしのぶは刀を鞘にしまう。
冨「隊士同士のやりあいはご法度だぞ胡蝶…これはお館様には報告しないが。気をつけろ」
煉獄もいいな?と冨岡が視線をやると、杏寿郎は頷く。
(おぉ、さすが冨岡様。この中で一番年上とは聞いていたけど、さらっとこの場を治めるなんて)
し「冨岡さんは何をしにいらっしゃったのですか?」
冨「お館様からお話があってな。水橋が鬼殺隊に入ると希望しているとな」
「あ…そうですね、冨岡様とお話をしていなかったですね。申し訳ありません…」
ペコリと頭を下げて、顔を上げると相変わらずの無表情だが、なんだか少し拗ねているように感じた。
し「それは私も昨日お館様の前で聞いて驚きました、もちろん許すつもりはありませんよ月奈」
冨「俺も賛成出来ない。が、お館様に話したくらいだ、理由くらい聞いてもいいだろう」
(一体どこから話せばいいのか…)
チラリと杏寿郎を見ると、自分でしっかり話せ、とキッパリ言われてしまった。
二人の視線を感じ、月奈はゆっくりと話し始めた。
し「理由は分かりましたが…剣士であれ隠であれ、最終選別に行かねばなりません。稀血の月奈が藤襲山で7日間生き抜くなんて、そんなこと…賛成できません」
冨「稀血で最終選別を受けたのは、不死川がいるな。話を聞いてみるのもいいかもしれない」
(最終選別?…不死川様?)
「最終選別とは、入隊試験のようなものでしょうか?」
し「えぇ、隊士になる為に皆が通る道です」
月奈は、しのぶから最終選別の内容を聞いて頭を抱えた。自分は無謀な道を選んだのではないか、と。