第6章 迷いと決意
煉「胡蝶!月奈を連れてきたぞ!」
し「はいはい、そんなに呼ばなくても聞こえていますよ煉獄さ…月奈!?着物が破れていますよ!何かあったのですか?」
2階の診察室から降りてきたしのぶは、月奈の姿に驚いて駆け寄る。
しのぶの反応に、え?と思い杏寿郎を見ると、口角を上げたまま目を見開いている。
「まさか…杏寿郎様、昨日あった出来事はお話されていないのですか?」
煉「…すまん、鴉を飛ばす前に湯殿の一件があったから…忘れていた」
し「湯殿の一件…?」
ゆらりと体を揺らして杏寿郎を見るしのぶ。
月奈は、まぁまぁと間に入る。
し「とりあえず、月奈は着物を着替えましょう。…煉獄さんと冨岡さんは診察室で待っていてくださいね。聞きたいことが山ほどありそうですから」
ニコリと笑うしのぶの瞳は笑っていない。この後あの二人は地獄を見るかもしれない、と月奈は心の中で手を合わせた。
し「ひどいケガですね。痛かったでしょう」
ア「…消毒が沁みると思いますが我慢してくださいね」
病室のベッドに横になり、診察を受けていると心配する二人の声に申し訳なくなってくる。
「自業自得ですから、大丈夫です。それに今更傷が増えようと気にしませんよ」
苦笑して二人を見る。二人は背中の傷も当然知っているので気分は楽だ。
昨日よりも消毒の痛みは少なくなっていて、月奈はなんとか叫ぶことを我慢出来た。
消毒を終えて着替える月奈に、しのぶが話しかける。
し「月奈は女の子なのですから、なるべく体に傷が残らないように処置はしますが、少し残ってしまいそうです。ごめんなさいね」
「大丈夫ですよ、本当に気にしないですから!煉獄家の方にも背中の傷や胸の傷も見られましたが、嫁に来るかと冗談で励ましてくださいましたし」