第6章 迷いと決意
千「月奈さんはケガ人ですよ父上、兄上!もう丑の刻も過ぎています、早くお休みになられてください!」
眉を思いきり下げたままで怒る千寿郎と、怒られて眉を下げる槇寿郎、杏寿郎を見て月奈は噴き出した。
「…すみませ…ふふっ…遺伝子が強すぎて…いたたた」
笑いをこらえると、傷が痛む。しかし、目の前に三つ同じ顔があるのは面白い、それに全員が眉を下げて困り顔なのがまた更に面白い。
血の滲んだサラシの交換を手伝うと申し出た三人を部屋に返し、自分で交換して再度床に就いた。
翌朝、蝶屋敷へと向かうため月奈は門の前に立っていた。
煉「それでは行って参ります!」
槇「あぁ、しっかり送り届けるんだぞ。月奈さんは体を早く治すようにな」
千「月奈さん、今度はゆっくりと遊びにいらしてください。お体に気を付けてくださいね」
「槇寿郎様お世話になりました!千寿郎さんも色々とありがとう!次に来た時にはご飯作りやお掃除手伝いますね!」
ニコリと微笑み、千寿郎の手を握る月奈を見て槇寿郎は呟いた。
槇「…千寿郎の嫁というのも一つか。年齢もそこまで変わらないだろう上に、俺も杏寿郎も鬼殺隊士。中々条件は揃うな」
千「父上!?俺の嫁とは何の話ですか!?」
煉「よもや!千寿郎の嫁ですか父上!?」
「はい?…え!!?その話は昨日終わっていたのでは!?千寿郎さんには私なんかつり合いません、もっと良い女性がいるはずですよ!」
ふと思いついたことを呟いたことで三人から詰め寄られる結果となった槇寿郎は、すまんと謝り見送ってくれた。
月奈と並んで歩く杏寿郎の背中を見て、杏寿郎の嫁でも問題はないのか?と呟いた槇寿郎が「父上!!?」と千寿郎に怒られたのを二人は知らない。