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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第6章 迷いと決意



「ちょ…杏寿郎様!?わわっ!」

すとんと布団の上に座らされたと思ったら、そのままコロンと寝かされる。
気付いたら天井を見ていて、何が起こったのか分からない。


煉「うむ、そのまま大人しく眠ると良い。サラシの
交換の時には俺が起こそう」

「それでは杏寿郎様が休むことが出来ないのでは?…お部屋に…戻って…」

煉「あぁ、君が眠ったら戻るとしよう」

頭を優しく撫でられ、ウトウトする月奈に杏寿郎は静かに微笑む。
やがて、寝息を立て始めた月奈を確認して、汚れた手ぬぐいを持ち部屋を出る。

槇「杏寿郎。あの娘の様子はどうだ」

煉「父上!まだ起きていらっしゃいましたか。月奈のケガの止血は済みました。今は床に就いております」

槇寿郎はちらりと血の付いた手ぬぐいに視線をやる。
出血量はそこそこに多い。痛かっただろう。しかしそれを表に出すことなく槇寿郎と言葉を交わしていた。

ー弱音を吐かない、我慢強いことが、全てに於いて良い事とは限らない。弱さを認めて引くことも、人に頼ることも必要だ。やはり鬼殺隊に入るのはあの子のためにはならない。

煉「父上、月奈が鬼殺隊に入ることを反対されたのでしょう。挨拶後の月奈の表情が強張っておりました」

槇「…だとしたら何だ。鬼殺隊に入らずとも、あの娘ならば嫁ぎ先はいくらでもあるだろう」

煉「一人で生きていく覚悟はとうに出来ている、と言われてしまいました。今回の傷もそうですが、背中にも大きな傷がありました。それ故に嫁ぐことを考えていないのではないかと」

ちょっと待て、と槇寿郎が杏寿郎の話を遮る。
どうかしましたか父上?と杏寿郎に問われ眉間の皺が深くなる。

槇「行くところがないから、鬼殺隊に入るつもりか。それならば尚のこと俺は許さんぞ、わざわざ鬼に殺されに行くようなものだ」

杏寿郎は一つ気になっていることがあった。
生きていることが幸せならば、言葉通り生を全うすればいいのだ。それなのに、鬼殺隊に入りたいのは何故なのか。本当に恩返しのためだけとは考え辛い。

槇「あの娘、月奈さんは鬼殺隊に入って何を成し遂げたいのか分からん。何を考えている」

煉「俺にも分かりません。しかし、お館様ならば何か気付いていらっしゃるかもしれません。今はお館様の決断を待つしかないと思っています」
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