• テキストサイズ

【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第5章 お館様



それにしても…と煉獄の肩越しに、後ろのしのぶを見ると、ニコニコと微笑んで走っている。

(この速さを平然と走っている…鬼殺隊の隊士は皆これが普通なの?それとも柱がすごいの?)

し「煉獄さん、そろそろ目隠しをしましょうか」

煉「む、そうだな。そろそろ必要か!」

そう言うと、二人は速度を落とし止まった。
背中に当たっていた風の圧迫感から解放され、体の強張りが少し和らいだ。ふぅ、と息をついて回していた腕を外し、煉獄に抱えられたまま空を仰ぐ。

し「月奈、疲れていると思いますが、あともう少しです。頑張ってください」

「私は運んで頂いているだけなので、頑張ることがないですよ、しのぶさん…煉獄様、よろしくお願いします」

苦笑する月奈に、任せろと煉獄が笑った。
月奈に目隠しをすると、さぁ行きましょうか、としのぶが声をかけた。

またしがみついておかないと、と思い腕を回そうとしたが位置が掴めない。ぺたぺたと肩や背中に触れて首の位置を確認する。

煉「む?…あぁ捕まる位置が分からないのか。…ここだ、分かるか」

スリ…と月奈の頬に柔らかい何かが触れた。
少しくすぐったいなぁと思った瞬間、耳元で煉獄の声が聞こえてビクリとする。

(まさか、頬に触れているのは煉獄様の髪!!?)

「あ!はい!…すみません…分かりました」

首に腕を回して御礼を述べる月奈に満足したのか、では行こう!と動きだした。
視覚が塞がれている分、聴覚や触覚が鋭敏になると聞いたことがある。今、身をもって理解した。
正直この状況は月奈にとって、心臓に悪い。

ーむぅ、これはまずいな…

目隠しをした影響なのか、先ほどよりピッタリと寄り添う月奈の呼吸が首元にかかるのでくすぐったい。
無条件で自分に体を預ける月奈はあまりにも無防備だ。
心頭滅却、と心の中で念じながら平静を装う煉獄だったが、速度は先ほどより上がっていたようだ。

し「煉獄さん、ペースが乱れていますよ。どうしたのでしょうか?」

と月奈に聞こえない程度の声で指摘を受け、よもや!と叫んでしまった。
もちろん耳元で叫ばれた月奈の叫びが続いたのは言うまでもない。
/ 422ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp