第4章 行く先
し「煉獄さん、明日はよろしくお願いしますね。お館様のお話次第で、月奈の進む道が決まるでしょうから」
それは、蝶屋敷を出て自分たちが知らない所で生きていく可能性ももちろんある。煉獄はその意味を理解し、視線を落とす。
煉「水橋少女は稀血であることを除けば、普通の女性だ。俺達鬼殺隊とは無縁の世界で生きていくのが幸せだろう。良家の出ならば、どこかに嫁ぐにも何ら問題は無いだろう!」
顔を上げてニコリと笑う煉獄に、そうですねとしのぶは相槌を打つ。
稀血であることは変えようのない事実。鬼に襲われる可能性はあっても、お館様は何か対策をなさるだろう。それで普通に幸せに暮らしていけるなら、と思う傍らで、守る力を持つ自分たちの元にいればいいのに…と自分勝手に考えてしまったしのぶは、頭をゆるく振って考えを消した。
し「全ては明日次第、ですね」
その頃、
月奈が屋敷に戻ると、何やら賑やかな声が庭からしていた。気になって庭を覗いて見ると、そこには見知った人物がいた。
「後藤さん?」
後「ん?おぉ、水橋~。先ほど胡蝶様に頼まれた荷物は全部部屋に届けといたぞ~」
ヒラヒラと手を振っているその姿は、黒ずくめの服で顔布も付けているため目元しか見えない。鬼殺隊の中では、事後処理部隊として働いている〔隠〕の隊服。
先ほど買った着物とその他一式を、しのぶは隠に頼んでいたことを思い出した。
そうだ、帰りの荷物は団子と薬品だけだった…
後藤は何度か蝶屋敷に隊士を連れてきたり、荷物を届けに来たり頻繁に出入りしているので、月奈も交流があった。