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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第26章 居場所



(いい天…)

実「いい天気だなァ」

自身が思ったことが聞こえ驚いた月奈が振り向くと、縁側に立つ実弥の姿が見え思わず笑ってしまう。怪訝な表情を浮かべた実弥に「すみません」と謝った月奈は空になった籠を抱えて縁側へと戻った。

実「何か変な事言ったかァ?」

「いえ、そうじゃなくて。同じ事を考えていたので自分の考えが口をついて出て来たのかと驚きました」

なるほどなァ、と頷いた実弥の手には先ほどまで月奈が抱えていた籠が抱えられていて「あれ?」と声が出てしまった。自分の手を見ても籠は無い。

実「ちょっとは休憩しろって胡蝶が言ってたぞォ、無理すんなァ」

「強制的な休憩の為に実弥様を送り込むとは…しのぶさん流石です」

ボソリと呟いた言葉に実弥は眉を少し上げたが、縁側に腰かけた月奈にそれ以上の追及はしなかった。しのぶの差し金であることは事実、けれど働いてばかりの月奈を心配しているのは皆同じだ。

本来であれば行動を諫めるのは杏寿郎の役割、だが今は怪我人としてベッドで療養中だ。月奈が言うことを聞く人間は限られている中で、たまたま蝶屋敷に立ち寄った実弥に白羽の矢が立ったのだった。

実「月奈、手伝いはこうしてこなすのにどうして…」

「働かないのか、ですか?皆そればかりですね、それ程気にすることでしょうか」

この3日間、訪れる見知った隊士達から嫌と言うほど聞かれた内容に月奈は苦笑しながら問い返す。実弥は回りくどいことはあまり好きでは無いのだろう、直球に聞こうとしていたことをあっさりと言い返され少したじろいだ。

実「…そりゃ気になるだろうがァ。月奈にとっては矛盾だらけの”提案”なんだからよォ」

「本当に矛盾ばかりです。戦うなと言いつついざとなったら戦え、なんて。ましてや私はもう鬼殺隊士でもないのに」

空高く優雅に羽を広げて飛んでいる鳥を見ながら月奈は思う。隊士の時代でも戦う能力など皆無に等しかった自分が今更何の役に立つのか、と。

(その一方で、役に立つと皆が考えてくれているのなら応えたいとも思う。今までの恩返しも結局出来ないままでいるんだもの)

「しのぶさんの”提案”は確かに矛盾しているけれど、きっと私の事を考えた上での提案なんだろうなぁとは分かっているんですよ」
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