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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第26章 居場所



その言葉を聞いたしのぶと天元は、まるで示し合わせたかのように手を横に振った。

し・宇「無理無理」

息の合った二人の姿に杏寿郎は苦笑し頷く。理論としては双方の願いが叶うもの、しかし天元が言ったように酷なのではないか、と杏寿郎の心境は複雑なものだった。

煉「父上も察してはいるのだろう、だからこそ早急な回答を避けたのだと思う!しかし俺の考えが月奈の正解とは限らん、都合の良い願望だと怒られるのは本意ではない。俺がここに居る間にゆっくり話ができる、とことん話すつもりだ」

鬼殺隊に戻りたい気持ちは本当に無いのか。手伝うだけで納得できるのか。そして…

し「戦いに身を投じて欲しくないから鬼殺隊に戻らせない、けれどいざという時には蝶屋敷を守る為に前線に立って戦えなんて矛盾に月奈は憤りを感じていてもおかしくはありませんね」

宇「その可能性は大いにあるだろうなぁ!俺でも矛盾に腹が立つわ」

ま、ゆっくり腹割って話すしかねぇな。と話を締めた天元は座っていた椅子から立ち上がり杏寿郎の肩に手を置く。

宇「何かあれば協力してやるよ。月奈に俺の嫁達にも久しぶりに会ってやってくれって言っておいてくれ」

そう言うと天元は部屋を出て行った。最後の一言に杏寿郎は「助かる」とだけ答えると、ベッドに潜り込み目を閉じた。天元としのぶは任務地に向かう前の忙しい時に、わざわざ月奈のことを気にして部屋に寄ってくれたことで杏寿郎は自分の考えを整理することが出来た。

ー結局のところ、月奈と話をしないことには何にもならんな。




(杏寿郎様にも槇寿郎様にもゆっくり考えろなんて言われたけれど、結局の所断るなっていう話なのかしら)

杏寿郎が蝶屋敷に入院してから3日、毎日杏寿郎の身の回りの世話とともに蝶屋敷の手伝いをこなしながらもずっと考えている。

ー手伝いというよりも働いて頂きたいのです。勿論無賃金ではありません。

手伝うことが嫌で断りたいというわけでは無く、ましてや賃金など求めるつもりもなかった。しかし、何故賃金の事をわざわざ持ち出したのか、働くという言葉に言い換えたのか、それを疑問に思う間もなくしのぶが継いだ言葉で理由が分かった。

パンッ、と小気味よい音を立てて物干しにかけたシーツの皺を伸ばすと、青く晴れ渡る空が目に入ってくる。
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