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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第26章 居場所



月奈がお腹を鳴らしている頃、杏寿郎の病室には一人の客人が訪れていた。

宇「胡蝶が怒ってたぞ。入院までの怪我は必要なかっただろうってよ」

煉「うむ!それは診察中に散々言われた!手を煩わせてしまったようだな!」

杏寿郎自身、ここまでの怪我をするつもりはなかった。なにしろ月奈が戻って来る日に入院などしている暇は無い、はずだった。

宇「で?煉獄、お前の望み通りの展開になったのかよ?」

分かり切った答えをわざわざ聞こうとする天元は、どうやら面白がっているようだった。口元は笑みを浮かべつつ、声音は楽しそうだ。

煉「いくはずがあるまい!…月奈の本心を引き出すことは容易ではないな」

宇「それは以前からそうだろうが。本心も引き出せず、お前は入院…酷い結果だな」

し「まったく、煉獄さんには本当に困ったものです。宇髄さんからももっと言ってください」

噂をすれば…扉が開き入ってきたしのぶの腕には鎹鴉が止まっている。どうやらその鴉が運んできたらしき文に視線を落としながらも小言は忘れないしのぶ、その姿に男二人は苦笑した。

煉「胡蝶、先程の提案はさすがだな。いつから気付いていた?」

し「月奈の期限付きのお手伝いの話をした時に煉獄さんが喜ばなかったことがきっかけですよ。私の提案は見当違いではなかったようですね」

そう言ってしのぶが杏寿郎に差し出した手紙に、一緒に覗き込んだ天元は「へぇ」と呟きを漏らす。手紙の送り主は杏寿郎の父、槇寿郎だった。

煉「やはり断るつもりだったな。少しばかり自身の欲を感じるようになったか」

し「月奈の欲?それを抑え込んでいるから今回このような事になっているのでは?」

早急な答えを出す必要は無いことを伝えた、手紙には短くそう綴られていた。杏寿郎と同じ事を言われたであろう月奈は今頃きっと悩んでいるはずだ。そう予想がついた杏寿郎は、しのぶに手紙を返した。

宇「どういうことだ?相変わらず自分の気持ちも言えないままか?…成長してねぇな月奈は」

煉「いや、月奈は成長しているぞ!なにせ周囲に感じ取らせてしまうほどに自分の気持ちを出すようになっているからな!」
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