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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第26章 居場所



し「戻るつもりは本当に無いのですか?」

しのぶが月奈の背に問いかけると、コクリと頷くように月奈の頭が動いた。それは少しの迷いがあるようにゆっくりとした動きだが、その迷いに気付かぬフリをする。

ー月奈が言うように、煉獄さんが鬼殺隊で任務にあたる以上、鬼殺隊との関わりが切れることはない。勿論戻ること自体は誰も許しはしないでしょうけれど…。

そう、誰も月奈が鬼殺隊に戻ることを受け入れることは無いだろう。最終選別を受けることすら渋々認めたようなものだった、その時の事を思えばまた鬼殺隊に戻そうとする人間は居ない。

ただ、鬼殺隊での戦いを見て来た月奈が、自分は何も出来ない場所でただ皆の安否を気遣うということはきっと辛い事のはず。何も知らない人間ではない以上、その歯痒さや悔しさは想像に難くない。そこまで理解してしまったしのぶは”鬼殺隊に戻らない”という選択をした月奈の気持ちを無碍にするつもりも無ければ、そんな状況に月奈を置いておくことも良しとは出来なかった。

ーもしかして、煉獄さんはこの状況を予想していた…?よく考えてみれば、歯痒い思いで帰りを待つ弟を持つ煉獄さんならば、この考えまで辿り着いていたとしてもおかしくはないわ。

月奈から受け取った手拭いで体を拭いている杏寿郎に目を向ける。月奈が期限付きで手伝いを申し出たことを伝えた時に杏寿郎は何故喜ばなかったのか、ようやく分かった。

し「煉獄さん、月奈。一つ提案があるのですが、是非ご検討してもらえますか?」




槇「ようやく戻ってきたと思えば…」

廊下で並んで座る月奈と千寿郎に向き直って開口一番、そう言うと深く溜息を吐いた。なにせ聞いていた話と今の状況が全く異なっているのだ、槇寿郎からすれば訳が分からない。本来ならば午後までには杏寿郎とともに月奈が戻って来るはずだった。

槇「…今何時だと思っている?」

背を向けている庭は夕闇に包まれ、空には薄っすらと月が見え始めている。申し訳ありません、と謝りながらも月奈は心配をしてくれていたであろう槇寿郎に、頬が緩みそうになる。

千「先に兄上の所に行って参りましたので遅くなりました!すぐに夕餉の支度をします」
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