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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第26章 居場所


月奈の存在を探そうとする者も多かったがどうやっても見つけられなかった。後に、いつか戻るその時までお館様が手を回し隠していたことを柱合会議で知らされている。情報収集に長けている隠に協力を仰いだ人間もいたが、確固たる情報が手に入ったという話は聞かなかったのも当然だったのだと皆納得した。
それだけ心配していたことも考えれば、戻ってきた喜びも予想できる。

―兄上が月奈さんとゆっくり過ごせるようになるのはまだ先のようですね。

兄にとって残念なお知らせとなる現状を伝えるべく病室へと足を向けた千寿郎は、伝えた時の表情を思い浮かべて苦笑した。きっと寂しそうな表情は一瞬、それよりも月奈がイキイキしているならば良いと笑うのだろう。

千「兄上も月奈さんも本当に我儘を言わないからなぁ…」

病室へと戻って事の次第を話すと、杏寿郎は千寿郎の予想とは少し違う反応を見せた。
寂しそうな表情までは予想通りだったが、その後はほんの一瞬ではあるものの少し拗ねたような表情を見せた。

し「煉獄さん、お薬は飲まれましたか?」

煉「胡蝶か!うむ、飲んだぞ!」

部屋の扉が静かに開きひょこっと顔を覗かせたしのぶに、普段通りの大きい声で応えた杏寿郎。その顔に先ほどの拗ねた表情は無い。見間違い?と首を傾げた千寿郎に、しのぶが向き直って入院について詳細を話し始めたのを尻目に杏寿郎は窓の外を眺めて小さくため息をついた。本来であれば、家に戻り月奈とゆっくり過ごしていたと思うとこの時期に怪我をしてしまった自分が憎い。

し「煉獄さん、千寿郎さんからお聞きになったかと思いますが…」

窓から視線を戻した杏寿郎は微笑むしのぶと視線が合う。瞳の奥の感情を探るように見つめる杏寿郎にしのぶが苦笑すると、千寿郎が「兄上」と窘めるように声を上げた。

千「蟲柱様、兄上には月奈さんが蝶屋敷でお手伝いをすることになったとお伝えしています」

煉「俺の退院までの期間か?」

し「私としてはそれ以降も働いて貰いたいのですが、月奈自身から煉獄さんが退院するまで、と言われてしまいましたので勧誘は諦めます」

残念です、と肩をすくめた姿に「むぅ」と呟いて考え込む杏寿郎。喜ぶかと思っていたしのぶと千寿郎は首を傾げた。
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